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なんでベートーヴェンの肖像画は怒っているの? 本当は怒っていない

今回はチコちゃんに叱られる! ▽音楽と踊りの謎▽帽子の謎▽ベートーヴェンの謎 初回放送日:2024年12月6日を紹介。


なんでベートーヴェンの肖像画は怒っているの?




なんでベートーヴェンの肖像画は怒っているの?


チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、クラシック音楽が好きなステキな大人ってだーれ?」


チコちゃん「なんでベートーヴェンの肖像画は怒っているの?」


チコちゃんの答えは、「本当は怒ってもいない。」



本当は怒ってもいない


いろいろな音楽家の肖像画をみてみると





ベートーヴェンの肖像画だけ怒っているように見えます。


これは、肖像画を描いてもらう日の朝食に出されたマカロニ・チーズが不味かった。


そして、家政婦に当たり散らし、さらに肖像画を描きに来た画家にも当たり散らしてずっとその日は不機嫌だったという説明がネット上に。


しかし、実はこれはデタラメとのこと。


ベートーヴェンが持つ怖いイメージは代表曲の交響曲第5番(運命)の激しい曲調に起因しているとのこと。




日本人のほとんどが小中学校の音楽の授業で習うはずのこの曲。


力強いイメージの他に、どうしても怖い印象を抱かせます。


また、ベートーヴェンの人物像自体も短気で怒りっぽい事で知られています。


出された食事が気に入らないと家政婦に卵や皿を投げつけるとか。


また、しつこくピアノ演奏を頼まれたことに憤慨してさっさと帰ってしまったエピソードも。


それ以外にも、尊敬するナポレオンの為に曲を作りましたが、ナポレオンが権力に固執するようになった事に失望。


ナポレオンと書かれた譜面の表紙を破り捨てたなどのエピソードも。


このように性格の荒さが目立つ逸話が数知れずあるそう。


他にもベートーヴェンはせっかちでじっとしていられない性格でした。


ウィーンにいた35年間で70回以上も引っ越して一か所に留まるのを嫌っていたり。


椅子にじっとしているのが苦手で肖像画を描いてもらう15分間すら我慢できなかったことも。


あの有名なベートーヴェンの肖像画は実は4日に分けて描かれたものだそう。


その都度何度もポーズを取らされたベートーヴェンはイライラしていたかも?


ただしそのイライラした様子のベートーヴェンをそのまま絵にするのは流石に考えにくい。


ベートーヴェン本人もこの肖像画のポーズについては楽譜を持ったりペンを持ったりと積極的に協力している節もあります。


実はそんなに怒っていなかった可能性も。


これらのエピソードと結びついて、怖いイメージに。




そのため、このようなエピソードのせいで何となく怒っているように見えているだけとのこと。


マカロニ・チーズが不味くてキレたエピソードはベートーヴェンの付き人だったドイツの音楽家アントン・シンドラーの記述に。




しかし、これはベートーヴェンの晩年の出来事。


肖像画を描いた時期とは異なるという指摘も。


さらにアントン・シンドラーという人物自体が信用できない人。


その証言自体も本当かどうか分かりません。


ベートーヴェンに関するエピソードを都合の良いように書き換えたり。


これらから、研究者からは評価されていないそう。


つまり、短気で怒りっぽかったベートーヴェンがマカロニ・チーズに怒ったエピソードが翻訳されて日本で広まってしまいました。


そして、あの肖像画と結びつけられてネット上でまちがって広がっているとのこと。


偉人の肖像画には実情と違うものも多いそう。


ナポレオンと言えば白馬に乗ったステキな人物をイメージしますが、実際に乗っていたのはラバだったり。




また、本当のナポレオンは小太りだったそう。


武田信玄も実際はほっそりした見た目で神経質な性格だったよう。





結論


というわけで、


「なんでベートーヴェンの肖像画は怒っているの?」は、


「本当は怒ってもいない」


でした。




解説してくれたのは

宮城学院女子大学の越懸澤麻衣准教授。


音楽科

越懸澤 麻衣 こしかけざわ まい 准教授

博士(音楽学)

Ⅰ.基本情報
所属
学芸学部 音楽科

専門に関わる資格
高等学校教諭専修免許状(音楽)

研究分野(キーワード)
音楽学(西洋音楽史、ベートーヴェン、日本における洋楽受容)

主な担当科目
西洋音楽史概論、声楽史、鍵盤音楽史、芸術と社会、音楽と地域文化、民族音楽学

Ⅱ.業績一覧
研究業績
越懸澤麻衣『大正時代の音楽文化とセノオ楽譜』小鳥遊書房、2023年

Mai Koshikakezawa. “Beethoven’s ‘Moonlight’ Sonata and the Japanese Reception of Western Music”. In Beethoven the European: Transcultural Contexts of Performance, Interpretation and Reception, edited by Malcolm Miller, William Kinderman, pp. 217-238, Turnhout, Brepols, 2022.

越懸澤麻衣『ベートーヴェンとバロック音楽:「楽聖」は先人から何を学んだか』音楽之友社、2020年(オルフェ・ライブラリー)

所属学会
日本音楽学会、東洋音楽学会

競争的資金の獲得状況
(過去10年間・外部資金含む)
「楽譜出版から考える明治・大正時代の洋楽受容」、研究代表者・科学研究費・若手研究・研究課題番号:19K12986

「セノオ楽譜と洋楽受容」、研究代表者・科学研究費・若手研究(B)・研究課題番号:17K13348

「明治期の横浜外国人居留地における洋楽受容:ドーリング商会の活動を中心に」、研究代表・平成28年度笹川科学研究助成・研究番号:28-142

日本学生支援機構 平成26年度海外留学支援制度(短期派遣)

社会における活動
(学会活動以外)
日本ベートーヴェンクライス理事

Ⅲ.研究室紹介
研究活動
学生の頃からベートーヴェンの音楽を中心に、西洋音楽を研究しています。最近は、日本に西洋音楽がどのように入ってきて、定着したのか、ということにも関心を持っています。音楽を現在まで伝えている楽譜、音楽家の手紙や日記、そして同時代の雑誌や新聞の記事といった「一次資料」から見えてくることを大切に、研究を進めています。

ゼミ紹介
メッセージ
音楽の歴史をひもといたり、音楽作品を分析したり、作曲家の言葉に耳を傾けたり……。そうした音楽にまつわる知識も得ることで、音楽はより楽しめるようになりますし、演奏も深まっていきます。ぜひ一緒に音楽のいろいろな面をのぞいてみましょう。

メディアでコメント可能なトピック・テーマ等
・ベートーヴェンの生涯や音楽について
・明治・大正時代の洋楽受容について

個人ホームページ,researchmap,j-global等
https://researchmap.jp/mai.koshikakezawa
(大学HPより)




今回も最後まで読んでくれてありがとう。
他の記事もよろしくね。


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