今回はチコちゃんに叱られる! ▽なぜはかま▽なぜ手足が冷える▽なぜツバキは冬 初回放送日：2025年2月21日を紹介。
なんで女学生は卒業式に袴をはくの？
なんで女学生は卒業式に袴をはくの？
チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、身だしなみがきちんとしているステキな大人ってだーれ？」
チコちゃん「なんで女学生は卒業式に袴をはくの？」
チコちゃんの答えは、「はいからさんが通ったから。」
はいからさんが通ったから
「はいからさんが通る」は1975年に発表された漫画。
大正時代を生きる花村紅緒の恋愛模様を描くラブコメ漫画。
1987年には南野陽子主演で映画化されました。
同名の主題歌も大ヒットしました。
当時のトップアイドル南野陽子さんの袴姿は印象的で憧れの存在になりました。
この南野陽子さんの袴姿がそのブームのきっかけ。
その歴史は明治5年。
教育制度に関する法令が出来ました。
すると全国に学校がつくられて女子も学校に通う時代に。
江戸時代の寺子屋と違って欧米化・近代化を目指した学校。
テーブル型の机と椅子が取り入れられました。
生徒は椅子に座って授業を受けることに。
そこで問題になったのが帯のつぶれと裾の乱れ。
「椅子に座った際に着物の帯が潰れる」とか「移動する度に裾が乱れる」とか。
そこで当時の政府は女子の服装に男子の袴を取り入れるように通達するように。
しかし、当時はまだまだ袴＝男性がはくものという意識が強かった時代。
女子が袴をはいた姿は「女性らしくない」「おかしな服装」「国の恥」とまでいわれることに。
すると政府は明治16年には、女子は袴の着用を控えるようにという通達をだすことに。
これに従って多くの女学生は袴をやめて着物へ逆戻り。
そんな中でこの動きに立ち向かったのが下田歌子さん。
現在の学習院女子中・高等科にあたる華族女学校の教授。
女子教育の推進に生涯を捧げた下田歌子先生。
「ここで着物に戻っては女性の社会進出に待ったがかかってしまう」と危惧。
女性用の袴であれば問題ないと女袴を新提案しました。
馬にまたがる事を想定した仕切りのあるズボン型からスカート型に。
腰に当てていた板を無くすことで腰高のシルエットを作り出しました。
それでも、「袴は袴。女性がはくなんてやっぱり変」という反対勢力の意見が。
それに対して「皇后さまにお仕えする宮中の女官たちはどんな服装をしていると思っていますか？」と反論。
宮廷の女官たちは昔から動きやすい袴が正装となっていました。
下田歌子先生もかつて宮中で皇后に使えていたという経験を持っていた事から出たこの指摘。
「女性が袴をはくのは不自然でも何でもない」という主張の拠り所になりました。
そこで華族女学校では袴を着て、靴をはくという校則が生まれます。
これが日本初の女学校の制服。
こうして下田歌子が考案した女袴は女学生の制服として全国に広まっていきました。
さらに明治末期になると女袴姿のカリスマ女学生・三浦環さんの活躍で女袴は市民権を獲得することに。
のちに国際的なオペラ歌手として名声を得る事になる彼女。
袴姿で長い髪をなびかせて自転車に乗って音楽学校に通う姿が世間の注目を集めた事で世間の風潮も変化しました。
まとめると、「戦前の」女学生の袴姿は下田歌子さんが考案。
それを三浦環さんが広めたということに。
そして、戦後は女性と袴を取り巻く環境は大きく変化しました。
日本では戦後、一部の女子大学で卒業式に黒紋付きと袴を着用するという校則が設けられていましたが、それは一部。
制服に洋服が採用されるのが主流となった時代では、卒業式ではスーツ姿が定番化となります。
都内の女子大学の卒業アルバムをもとに袴の着用率について調査。
1945年の着用率100％の時代からどんどんその数が減り続けます。
1960年頃からほぼ絶滅状態に。
ところが1980年代前半から突然袴が復興の兆し。
90年代にはまた100％近い圧倒的な支持を受けるようになりました。
この爆発的な袴ブームのきっかけとして考えられるのが漫画「はいからさんが通る」と映画「はいからさんが通る」の存在。
映画が公開されると大正ロマン風の袴が注目を集めました。
そして、かつて女学生の制服だったという背景から若い女性が卒業式に袴をはくのが主流になったとのこと。
結論
というわけで、
「なんで女学生は卒業式に袴をはくの？」は、
「はいからさんが通ったから」
でした。
解説してくれたのは
共立女子大学の田中淑江教授。
基本情報
氏名 田中 淑江
氏名（カナ） タナカ ヨシエ
氏名（英語） Tanaka yoshie
所属 大学 家政
職名 教授
個人情報
共立女子大学 家政学部 被服学科 教授
学位
博士（学術）
「能装束小袖物の形状変遷に関する研究」 2010/09 取得
研究分野
被服造形学（和裁），服飾史，染織品保存修復
研究内容のキーワード
和服縫製，染織文化財，保存修復，小袖，能装束
（大学HPより）
今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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