今回はチコちゃんに叱られる! ▽ユニフォーム交換の謎▽炭の謎▽360度の謎 初回放送日:2025年7月18日を紹介。
なんで円の一周は360度なの?

なんで円の一周は360度なの?
チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、角が取れて丸くなったステキな大人ってだーれ?」
チコちゃん「なんで円の一周は360度なの?」
チコちゃんの答えは、「1年がだいたい360日だから。」
1年がだいたい360日だから
遥か昔、紀元前3500年ごろ、チグリス川とユーフラテス川のほとりに栄えたメソポタミア文明。
この地で文化の基礎を築いた古代バビロニアの人々は、農業を効率的に進めるために、天文学や数学を発展させました。
種まきや収穫の時期を知り、洪水の被害を防ぐために、彼らは「暦」を重視したのです。
太陰暦の課題と太陽への着目
元々、古代バビロニアで使われていたのは太陰暦でした。
新月を1日目として月の満ち欠けで1ヶ月を定めるこの方法では、1ヶ月が約29.5日となり、1年では約354日になります。
しかし、この太陰暦には大きな問題がありました。
1年が実際の季節よりも約11日短いため、年を追うごとに季節と暦がずれてしまうのです。
わずか3年で、今でいう1ヶ月ものずれが生じていました。
そこで彼らが目を向けたのが、太陽の動きでした。
古代バビロニアの人々は、太陽が地球の周りを回っていると考えており、毎日太陽がどこから昇るかを地道に記録し続けました。
その結果、「太陽はだいたい360日で元の位置に戻る」という結論にたどり着いたのです。
実際の1年は365日なので、現代の私たちから見れば少しの誤差があるように思えます。
しかし、彼らが導き出した「360」という数字には、驚くべき理由と、まさに「奇跡」と呼べるような性質が隠されていました。
奇跡の数字「360」と60進法
現在の一般的な計算方法は10進法ですが、古代バビロニアでは60進法が使われていました。
1分=60秒、1時間=60分といった、今も私たちが日常で使っている時間の単位は、この60進法がベースになっているのです。
古代バビロニアの人々は、この60進法と関連付けて、様々な要素を考慮した結果、360という数字が非常に計算しやすいことを発見します。
360は60(60進法の基本となる数字)で割り切れる(360 ÷ 60 = 6)。
360は12(1年の月数)で割り切れる(360 ÷ 12 = 30)。
そして何より驚くべきは、360は1から10までのほとんどの数字(7以外)で割り切れるという点です。
小数点を使わずに割り切れる数字は、計算が格段にしやすいものです。
特に、ほぼ全ての1桁の数字で割り切れるというのは非常に稀で、まさに360は「奇跡の数字」だったのです。
ちなみに、太陰暦の1年が354日、太陽暦の1年が365日であることから、そのほぼ中間にある「360日」を採用したという説もあるようです。
角度の始まりと現代社会への影響
こうして古代バビロニアの人々は、太陽が地球の周りを回る動きを360に分割しました。
この1日分の動きの単位を「1ウシュ」と定めました。これが、のちの角度の始まりとなります。
彼らはこのウシュ(角度)を使って土地の測量などに応用しました。
紀元前600年ごろの古代ギリシャの哲学者・数学者であるタレスたちが、この60進法とともに「円の一周360度」を数学の世界に導入したことで、この概念は徐々に世界中に広まっていきました。
現代社会でも、360度はごく一般的に使われているルールです。
もしこれが「円の一周100度」だったらどうなっていたでしょうか?
100の約数は9個しかなく、割り切れる数は限られています。
例えば3等分しようとすると、100 ÷ 3 = 33.333…となり、小数点が出てしまいます。
これに対し、360には24個もの約数があり、圧倒的に割り切りやすいのです。
2等分はもちろん、3等分、4等分など、様々な等分が容易に行えるため、計算のしやすさという点で360度は非常に優れているのです。
紀元前の時代に生きた古代バビロニアの人々が、天文学と数学を駆使して見出した「360」という数字は、私たちの生活に深く根差し、今もなおその恩恵を受けている、まさに文明の偉大な遺産と言えるでしょう。
結論
というわけで、
「なんで円の一周は360度なの?」は、
「1年がだいたい360日だから」
でした。
解説してくれたのは
埼玉大学の増田有紀准教授。
今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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