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なんで貴様って失礼な言葉なの? 敬語は時間が経つと敬意がすり減っていくから

今回はチコちゃんに叱られる! ▽船名の謎▽なぜベルトを締める▽貴様は失礼? 初回放送日:2025年9月27日を紹介。


なんで貴様って失礼な言葉なの?



なんで貴様って失礼な言葉なの?


チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、言葉遣いがきれいなステキな大人ってだーれ?」


チコちゃん「なんで貴様って失礼な言葉なの?」


チコちゃんの答えは、「敬語は時間が経つと敬意がすり減っていくから。」



敬語は時間が経つと敬意がすり減っていくから


「貴様」は尊敬語だった? 言葉の価値が下がる「敬意漸減の法則」とは

私たちが普段使う言葉には、時代の流れとともに意味やニュアンスが変化していくものがあります。


中でも、「尊敬語だったはずの言葉が、今や全く逆の意味になってしまった」という現象は、日本語の興味深い特徴の一つです。


その代表例が、乱暴な言葉として知られる「貴様(きさま)」や、親しみを込めた二人称である「お前(おまえ)」です。


これらの言葉の変遷を通して、「敬意漸減(けいぜんげん)の法則」という言葉の歴史を見ていきましょう。



最上級の尊敬語だった「貴様」の驚きのルーツ

現在では、主に目下の人をののしる、乱暴な言葉として使われる「貴様」。


しかし、その漢字を見れば一目瞭然です。


この言葉は、元々「貴(とうと)い様(さま)」を意味する、れっきとした尊敬語でした。


関ヶ原の戦いがあった1600年頃には、主に武士や学者の間で、手紙などで相手への敬意を表すために使われていたという記録が残っています。






ところが、江戸時代後期になると、この「貴様」の使い方は大きく変化します。


もともと、身分のある人が目上の人に対して使う言葉でしたが、この時代に庶民の間にも広まりを見せました。


例えば、人々に教えを説くお寺の住職などが、丁寧な言い方として「貴様」を使うケースが増えていきます。




「貴様」が乱暴な言葉になった理由

やがて、「貴様」は、同等の相手や目下の相手にも使われるようになりました。



こうなると、人々の間で「貴様=尊敬語」という認識がどんどん薄れていきます。


本来の意味で目上の人に「貴様」と言ってしまうと、かえって失礼にあたるという状態になってしまったのです。


そして、この傾向が強まり、現代では目下をののしる乱暴な言葉にまでなってしまいました。


このように、敬語が長い間使われるにつれて敬意が薄れ、価値が下がる現象を、敬意漸減(けいぜんげん)の法則と呼びます。


「貴様」は、この法則の代表的な例と言えます。



神様や天皇に使われていた「お前」の歴史

敬意漸減の法則のもう一つの代表格が「お前(おまえ)」という言葉です。


この言葉の元となるのは「大前(おおまえ)」です。


これは、本来、神様や天皇がいる前のスペースを表す言葉でした。




名前を直接呼ぶのは恐れ多いとして、神様や天皇を「大前」と呼ぶのが本来の使い方でした。


ここには、最上級の敬意が込められていたわけです。


しかし、これもまた江戸時代後期になると、一般庶民が対等、もしくは目下の相手に対して使うようになり、やがてフランクな表現へと変化していきました。




最上級の敬意が込められた言葉が、「言葉が広まったことで敬意が薄れる」という「貴様」パターンで価値を下げていったのです。



「ご苦労さま」が目上の人に使えない理由

少し異なるパターンで敬意が薄れた例として、「ご苦労さま」が挙げられます。


漢字で書くと「御苦労様」とあるように、この言葉は、本来目上の人に対して使っても何ら問題のない言葉でした。


江戸時代には実際に使われていた言葉です。


しかし、現代のビジネスの場では、部下から上司に向かっての「ご苦労さま」は失礼という認識が一般的です。


これはなぜでしょうか?


言語学者の飯間先生の解説によると、現代の若い人たちの感覚からすると、この「ご苦労さま」という言葉はやや古い言葉のように感じられます。




そのため、「年配の人が使う言葉」というイメージが強くなります。


その結果、「年上が年下に対して使う言葉」という解釈が広まり、言葉の敬意がすり減ってしまったのです。


このように、「若者が使わなくなったことで敬意が薄れる」という「ご苦労さま」パターンも、敬意漸減の法則がとる形の一つです。




言葉は生き物であり、私たちの使い方や時代の感覚によって、その意味や価値は常に変化し続けます。言葉の奥深さを感じられる興味深い歴史ですね。



結論


というわけで、


「なんで貴様って失礼な言葉なの?」は、


「敬語は時間が経つと敬意がすり減っていくから」


でした。




解説してくれたのは


国語辞典編纂者の飯間浩明さん。

飯間 浩明(いいま ひろあき、1967年10月21日 – )は、日本の日本語学者、辞書編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員[1]。

経歴
香川県高松市出身[1]。早稲田大学第一文学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。専門は日本語学[1]。

修了してアルバイトとして三省堂の辞書編纂に携わった後、第6版より『三省堂国語辞典』の編集委員および早稲田大学・成城大学などで非常勤講師を務めている[1]。
(HPより)




今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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