今回はチコちゃんに叱られる! ▽虫の鳴き声の謎▽クリームシチューの謎▽庭の謎 初回放送日:2025年10月24日を紹介。
なんで虫の鳴き声って心地よく聞こえるの?

なんで虫の鳴き声って心地よく聞こえるの?
チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、秋の夜が似合うステキな大人ってだーれ?」
チコちゃん「なんで虫の鳴き声って心地よく聞こえるの?」
チコちゃんの答えは、「オーケストラになっているから。」
オーケストラになっているから
秋の夜長に耳を澄ますと聞こえてくる、あの美しい虫たちの声。
スズムシやコオロギの鳴き声は、私たち日本人にとって、秋の風情を感じさせてくれるものですよね。
でも、この虫の鳴き声には、単なる季節の音というだけではない、驚くべき秘密が隠されていることが研究で明らかになっているんです。
虫たちが鳴くのは、縄張りを主張したり、異性を惹きつけたりするため、つまり彼ら同士のコミュニケーションのためだとされています。
しかし、この音が私たち人間にも、とても良い影響を与えていることが分かっているんです。
ある実験では、虫の鳴き声に対して、人間は「美しい」「清涼」「高音」といったポジティブな要素を感じることが多いという結果が出ました。
さらに興味深いことに、鳴き声を聞くことで、私たちの脳波にはリラックスや落ち着きを促す「アルファ波」が現れることが確認されているんです。
科学的にも、虫の鳴き声にはリラックス効果があることが証明されているわけですね。
この心地よさの大きな理由として、複数の種類の虫が同時に鳴いているという点も挙げられます。
2023年に虫の鳴き声が人にもたらす効果について研究を行った関先生の研究によると、鳴き声を一種類だけで聞くよりも、複数種類を同時に聞いた方が「華やかさ」「音楽性」が増し、より好ましく感じるという実験結果が得られたそうです。
これは、ちょうどオーケストラやアンサンブルのようなもの。
単独の楽器の音色を聞くよりも、複数の音が重なり合うことで、ハーモニーや奥行きが生まれ、私たちはより心地よく感じるのと同じだと関先生は説明されています。
実は、虫の鳴き声は、お互いが邪魔をせずに綺麗に調和する「オーケストラ」のような仕組みになっているんです。
その調和を生み出す要素は主に二つ。
一つは「鳴き声の周波数が和音になる」こと、そしてもう一つは「虫ごとに担当楽器が違う」ことです。
まず「鳴き声の周波数が和音になる」仕組みを見ていきましょう。
音楽でいう「和音」とは、高さが異なる複数の音が同時に響き合う状態を指します。
虫の鳴き声も、まさにこの和音の関係になっているというのです。
実験で使われたエンマコオロギ、カンタン、キンヒバリ、スズムシという4種類の虫。
鳴き声の周波数を見てみると、それぞれが異なる周波数を持っていることが分かりました。
音は、近い周波数の音が同時に鳴ると濁って聞こえてしまいます。
ですから、異なる周波数であるということは、綺麗な音になるための基本的な条件を満たしているわけです。
さらに、この「和音」と、不安定に聞こえる「不協和音」の差を分けるのが、「1/3オクターブ分析」という要素です。
1オクターブとは、周波数の比が2倍になる関係のこと。
例えば、低い「ド」の周波数を2倍すると高い「ド」になります。
この1オクターブを3分割したグラフに和音を当てはめてみると、音が一つずつ3分の1の領域に綺麗に分かれて収まることが分かります。
一方、不協和音は、全ての音が3分の1の領域の中に集まって固まってしまうという大きな違いがあります。
つまり、周波数帯が綺麗に分かれると「和音」になり、集まってくると「不協和音」になって不快な音になるというのが1/3オクターブ分析の考え方です。
この分析を虫の鳴き声に当てはめてみると、それぞれの虫が異なる周波数に綺麗に分かれていて、見事な棲み分けができていることが判明しました。
これは、虫たちの鳴き声が、人間にとって心地よい「綺麗な和音」になっていることを意味しています。
次に「虫ごとに担当楽器が違う」点についてです。
先ほどの4種類の虫の鳴き声は、それぞれ異なった波形を持っています。
関先生は、これを「異なる楽器が重なることで美しさを生むオーケストラ」と同じ関係だと指摘されています。
虫ごとに綺麗にパート分けされているこの現象は、虫の進化の過程で生まれたものだと考えられています。
違う種類の虫同士がお互いに干渉しないように、鳴き声が長い年月をかけて上手く調整された結果、この素晴らしいハーモニーが生まれたというわけです。
その証拠に、日本の「在来種」の虫の鳴き声だけを集めて聞くと、綺麗な和音に聞こえるのに対し、そこに外来種が1種類混ざるだけで、少し濁った音に聞こえるという現象も確認されています。
これは、在来種たちが長い年月をかけて、同じ土地に住むもの同士、鳴き声がぶつからないように上手く共存するために進化した結果だと考えられるのです。
私たちが何気なく聞いている秋の虫の音は、単なる自然の音ではなく、数十万年という進化の歴史の中で磨き上げられた、科学的にも証明された「リラックス効果」を持つ、素晴らしいオーケストラだったのですね。
これからは、虫たちの鳴き声に耳を傾ける時、その「調和」や「和音」にも意識を向けてみると、より一層、その心地よさを感じられるかもしれません。
秋の夜長を、虫たちの奏でる優しいオーケストラとともに、心穏やかに過ごしてみませんか。
結論
というわけで、
「なんで虫の鳴き声って心地よく聞こえるの?」は、
「オーケストラになっているから」
でした。
解説してくれたのは
千葉工業大学の関研一教授。
セキ ケンイチ Kenichi Seki
関 研一
所属
千葉工業大学 未来変革科学部 経営デザイン科学科
千葉工業大学 社会システム科学研究科 マネジメント工学専攻
職種 教授
■ 研究室
津田沼校舎 1号館10階 021011室
■ 学位
1. 2008/04~2012/03 慶應義塾大学 システムデザイン・マネジメント研究科 システムデザイン・マネジメント専攻 博士課程修了 博士(システムエンジニアリング学)
■ 研究概要
顧客嗜好が多様化する中で、商品開発において「顧客の期待を超える価値の創造」を実現することが難しくなってきている。商品というシステム全体を俯瞰した上で、顧客視点での最適なシステム要求を、関係者間で協業、実現するために、ものづくりプロセスの「超上流」、設計構想段階での設計手法の研究を行っている。自動車業界・コンスーマーエレクトロニクス業界での開発設計の実務経験をベースに、予測モデル、設計モデルの構築、活用展開のPJ活動を推進している。
■ 専門分野
設計工学, 音響振動, 熱設計, 感性設計, サウンドスケープ (キーワード:音響工学、機械力学、設計工学)
■ メールアドレス
kyoin_mail
■ 所属学会
1. 日本機械学会
2. 日本音響学会
3. 精密工学会
4. 日本感性工学会
5. プロジェクトマネジメント学会
(大学HPより)
今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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