「チコちゃんに叱られる!」番組制作者 水高満プロデューサーがかたる誕生秘話。
NHKらしくないのは、やっぱりフジテレビのバラエティー黄金期を支え、現在共同テレビにいらっしゃる小松純也さんなどとの関わりがあるんですねぇ。
NHKにしたら、ぶっとびすぎてます。
収録の時のチコちゃんは、トップシークレットみたいですね。
キム兄のアドリブと口調、表情のCG、実際のミッキーマウスをおもわせるようなコミカルな動きが、とてもマッチしていると思います。
NHK雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」(金曜午後7時57分)が大人気だ。「いってらっしゃいをするとき、手を振るのはなぜ?」。5歳児のチコちゃんが日常の素朴な疑問を投げかけ、答えられない大人を「ボーッと生きてんじゃねえよ!」としかる。番組コンセプトや、CGを使ったチコちゃんの造形など、斬新な手法の数々はテレビ界の注目の的だ。チコちゃんはどうやって撮ってるの? なぜ5歳なの? 声はなぜキム兄なの? 素朴な疑問を、水高満チーフ・プロデューサー(50)に聞いた。
-「チコちゃん」誕生のきっかけは。
水高 フジテレビのバラエティー黄金期を支え、現在共同テレビにいらっしゃる小松純也さんと飲む機会があって、「5歳児の女の子にクイズを出され、知らないと『ボーッと生きてんじゃねえよ!』としかられる番組をやりたい」と(笑い)。おもしろいので一緒にやりましょうと。
-チコちゃんの姿形は決まっていたのですか。
水高 その時は決まっていませんでした。モニターの中のCGキャラクターでもいいし、ロボット、着ぐるみ、人形劇など、いろいろ考えて今の形になりました。
-髪形や服装が昭和っぽいですよね。
水高 今の子供たちは大人の顔色うかがういい子ちゃんが多いけれど、ひと昔前にいたような、ちょっとこまっしゃくれたおませな女の子という設定で、昭和イメージの姿形を考えました。MCとして「ボーッと生きてんじゃねえよ」というNHK的でない言葉を吐くので、顔がアニメみたいに動いた方がかわわいいかなと。
-収録の時、チコちゃんはどういう状態なのですか。
水高 マル秘事項なんです(笑い)。でも、着ぐるみとCGが融合していることは確かで、チコちゃんはちゃんとスタジオにいます。顔ものっぺらぼうではないです。
-表情は何種類くらい作れるのですか。
水高 無限です。NHKアートのCG班が、どこからがCGで、どこからが着ぐるみか分からないようにしています。ハリウッド映画がやっているようなことをウイークリーでやっているので大変ですが(笑い)、チコちゃんプロジェクトのメンバーたちが、チコちゃんを愛してとんどん作ってくれています。チコちゃんプロジェクトはCG7人で1チームの班が6班あります。
-チコちゃんの声を担当しているキム兄(木村祐一)がはまり役ですが、起用意図は。
水高 ギャップの激しい人の方がおもしろいし、いちばんはアドリブ力ですね。収録の時、岡村隆史さんやゲストの方はクイズについて何も知らずに入ってくる。チコちゃんのキャラをまっとうしつつ、出演者をいなして場を回せるMC力を考えると、できる人は限られているのかなと。ゲストへのちょっとしたツッコミとか、我々も「そうきたか」と感心する場面はいっぱいあります。
-木村さんは別室でしゃべっているのですか。
水高 そうです。アドリブに合わせてチコちゃんが動いていて、神ワザと言われています(笑い)。
-木村さんの女の子口調もうまいですよね。5歳のお年頃の、ちょっとこまっしゃくれた感じが。
水高 われわれも意外でした(笑い)。キム兄も、ちっちゃい女の子のお子さんいらっしゃいますし。最初にボイスチェンジャーでリハをやった時にもう面白くて、いけると。木村さんは制作者の視点もある人だからうまくいっているのだと思います。言われたことをやる俳優さんたったらこうはならない。
-5歳の設定の理由は。
水高 ヘンな言葉覚えて大人をしかったとしてもイラッとこない感じとか、背伸びしてもかわいい感じは5歳くらいがちょうどいいんですよね。3歳だと大人に対等な口をきく感じでもないし、小学生になってしまうと理屈っぽい。まだ社会生活や規律に染まっていない5歳くらいがちょうどいいんです。
-「ボーッと生きてんじゃねえよ」のキメぜりふは企画段階からあったのてすか。
水高 小松さんのアイデアにすでにありました。5歳の女の子が大人に言っていちばん面白い言葉ということで。
-流行語大賞もいけるのでは。
水高 ならないでしょう(笑い)。
NHK雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」のPR会見で。左から塚原愛アナ、チコちゃん、岡村隆史(3月29日) (C) NHK
-「どっこいしょ、ってどういう意味?」「なんでタンスに小指をぶつけるの」など、よその番組にないクイズの数々はどう考えているのですか。
水高 毎週ネタ会議。きのうは6時間でした(笑い)。知識を問うのではなく、「そういえば考えたことがなかった」とハッとするというのが大事なので、日常もチコちゃんの目線でものを見るようになりました。ボーッと生きていたら見つからない(笑い)。
-取材も相当時間を割いているのですか。
水高 はい。1問1ディレクターでやっています。子供が発する素朴な疑問は掘っていくと深い。諸説あるという壁は番組の見せ場にもなりました。サウスポーの由来の回なんか、諸説ありすぎて「分かりませんでした」という答え。でも、サウスポー研究の最前線は全部見せた。ディレクターが頭抱えたり言い訳したりする様子もそのまま流すのはほかのクイズ番組ではあり得ないことで、画期的だと思います。
-水高さんが特に印象に残る問いは何ですか。
水高 最初の単発の時の「いってらっしゃい」かな。なぜこのしぐさがバイバイなのかと。相手の魂を呼び寄せるとか、袖振り合う、につながる文化なんだと分かった時に、いけると思いました。
-4月レギュラーのスタート当時、ここまでの反響は予想していましたか。
水高 まったく予想外でした。NHKらしくないとも言われますが、そう言われる場合の多くはいい意味で言ってくれているので、いいと思います。
-金曜夜(7時57分)の本放送よりも土曜の朝8時15分の再放送の方が視聴率が高いという現象も話題ですよね。7月14日は番組最高の13・9%。
水高 朝ドラ「半分、青い。」からの流れは大きいと思います。チコちゃんも若い層に見ていただいているので、「半分、青い。」の視聴者層と親和性が高いということもあります。
-最後の縁側でのおたよりコーナーも好きなんですよ。何歳の人でも、はがきには「5さい」と書くきまり。すごい年配感のある達筆で「5さい」とか(笑い)、受け手もチコちゃんワールドに乗っかって楽しそうです。
水高 最初は子供限定も考えたんですけど、5さいって書いてくれればいいやと(笑い)。何歳の人がきても単純に面白いし、みんな楽しんでくれている感じです。辛辣(しんらつ)なクレームがくることもあるのですが、そういう投稿もみんな「5さい」って書いてあるんですよ(笑い)。
【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)
(日刊スポーツ梅チャンネルより)
大人気チコちゃん制作者が語る神ワザ神ボイス神設定
やっぱり面白いものには、理由があるんですね。
製作者がよいと良い番組ができるんだなぁと改めて考えさせられました。
でも、キム兄のアドリブで、チコちゃんが動きを考えているのには、びっくりしました。