今回はチコちゃんに叱られる! 放送100年!春の72分拡大版スペシャル 初回放送日:2025年3月28日を紹介。
なんで大河ドラマは大きな河なの?
なんで大河ドラマは大きな河なの?
チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、ドラマをよく見るステキな大人ってだーれ?」
チコちゃん「なんで大河ドラマは大きな河なの?」
チコちゃんの答えは、「ロマン・ロランのせい」
ロマン・ロランのせい
大河ドラマのもととなる作品は1963年に放送された「花の生涯」。
幕末の大老だった井伊直弼の生涯を描いたドラマでした。
当時のテレビドラマは一話完結型。
生放送が主流でした。
そのため、作り込まれた作品というものはありませんでした。
娯楽の中心はもっぱらが映画。
当時の俳優は契約している映画会社の作品にしか出られないという五社協定という鉄の掟がありました。
映画スターがテレビドラマに出演するのはありませんでした。
そんな中でNHKの芸能局長を務めていた人物が「今までにない娯楽作品を作りたい。日本一のドラマを作れ。」と命令。
NHKの一大プロジェクトが動き出すことに。
映画、歌舞伎、新劇のスターを勢ぞろいさせて剣劇アクションからラブシーンまでありとあらゆるエンタメを詰め込みます。
新感覚の連続大型時代劇という、新しい作品を目指して制作。
NHKの粘り強い交渉のおかげで歌舞伎界の大スター・尾上松緑が主演。
松竹の看板俳優・佐田啓二、元宝塚女優の淡島千景と各界のスターが参加。
全39話放送期間9か月という異例の連続ドラマとして大成功することに。
当時は大河という言葉はありませんでした。
大型連続時代劇というネーミング。
翌年の1964年1月5日には2作目となる「赤穂浪士」が放送スタート。
放送当日の読売新聞に大河ドラマというワードが登場します。

これは、NHK発信ではなく読売新聞が初めに大河ドラマという言葉を使ったことに。
そこに関わってくるのがフランスの文学者ロマン・ロランさん。

彼の小説「ジャン・クリストフ」が”大河”というワードの由来。
偉大な音楽家の生涯を描いたこのフィクション小説にはジャン・クリストフの生涯を「大河のごとくに」と表現する文章が登場します。

ロランはこの作品で1915年のノーベル文学賞を受賞します。
これ以降は人間の生涯を描いた壮大な物語を「大河小説」と呼ぶように。

新たなジャンルとして広まりました。
そして、人の生涯を描く大河小説と歴史上の人物の生涯を描くドラマという共通点から読売新聞の記者が「大河ドラマ」と命名しました。

こうして初めての「大河ドラマ」となった作品「赤穂浪士」。
瞬間最高視聴率53%を記録して歴代トップの数字を獲得。
この大ヒットのおかげで大河ドラマという呼び名も世間に広まります。
これは非公式な呼び名でNHKではあくまで大型連続時代劇とよばれていました。
オープニングで大河ドラマとはっきり明記されるのは43作目となる2004年の「新選組!」が最初。

冒頭から登場します。
これ以降は番組開始と共に大河ドラマというテロップが表記されるようになりました。
49作目の2010年「龍馬伝」では番組タイトルの一部として表記されるスタイル。
その後はテロップ表記かタイトルの一部かどちらかのスタイルを適用しています。
このように必ず大河ドラマのワードが出されるようになりました。
「新選組!」放送時のNHKドラマ部長だった西村与志木さんの話によると、この作品は三谷幸喜さんが脚本担当。
本人も「子どもの頃から見ていた大河ドラマの脚本をやっと自分が書ける」という思いが強かったとのこと。
これを新機軸として「大河ドラマ」という放送枠を強く打ち出す思惑から表記が始まったとのkと。
画面に大河ドラマとはっきり出て来るので、三谷幸喜さんも含め出演キャストも非常に喜んでいたとのこと。
結論
というわけで、
「なんで大河ドラマは大きな河なの?」は、
「ロマン・ロランのせい」
でした。
解説してくれたのは
日本大学の中町綾子教授
中町 綾子
芸術学部 放送学科 教授
研究者情報
研究キーワード
テレビ文化
放送番組研究
テレビドラマ
放送文化
脚本
テレビ番組
映像文化
映像作品
ドラマ
研究分野
人文・社会, 美学、芸術論, 映像 放送文化 テレビ番組 脚本
人文・社会, 社会学, 放送 文化
経歴
2009年04月
日本大学, 芸術学部, 教授
2007年04月
日本大学, 芸術学部, 准教授
2004年04月
日本大学, 芸術学部, 助教授
2000年04月 – 2004年03月
日本大学, 芸術学部, 専任講師
1996年04月 – 2000年03月
日本大学, 芸術学部, 助手
学歴
1996年
日本大学, 大学院 芸術学研究科, 映像芸術
1994年
日本大学, 芸術学部, 放送学科
委員歴
2022年07月 – 現在
理事, 公益財団法人 放送番組センター
2018年01月 – 現在
番組審議委員, BS朝日
2019年 – 2024年
東京ドラマアウォード選考委員長, 国際ドラマフェスティバルinTOKYO実行委員会
2020年 – 2023年
芸術選奨選考委員, 文化庁
2017年 – 2020年
文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門審査委員, 文化庁
2011年 – 2018年
東京ドラマアウォード選考委員会副委員長, 国際ドラマフェスティバルinTokyo実行委員会
2013年 – 2017年
文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門審査委員, 文化庁
2014年 – 2016年
文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門審査委員, 文化庁
2012年 – 2014年
芸術選奨文部科学大臣賞推薦委員, 文化庁
2010年 – 2014年
ギャラクシー賞テレビ部門選奨委員, 放送批評懇談会
2005年 – 2007年
ギャラクシー賞テレビ部門選奨委員, 放送批評懇談会
1996年 – 2001年
ギャラクシー賞テレビ部門選奨委員, 放送批評懇談会
(大学HPより)
今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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