今回はチコちゃんに叱られる! ▽iPS細胞の謎▽源頼朝と織田信長▽小袋の不思議 初回放送日NHK総合テレビジョン6月5日(金)を紹介。
なんでiPS細胞の「i」は小文字なの?
なんでiPS細胞の「i」は小文字なの?
チコちゃん「ねぇねぇ岡村、この中で一番、物の名前に詳しい勉強熱心な大人ってだーれ?」
チコちゃん「なんでiPS細胞の「i」は小文字なの?」
チコちゃんの答えは、「あの大ヒット商品みたいに世界に広まって欲しかったから。」
あの大ヒット商品みたいに世界に広まって欲しかったから
なぜiPS細胞の「i」は小文字なの? 世界を変えた魔法の細胞と「あの超大ヒット商品」の意外な関係!
医療の未来を大きく変える存在として、世界中で研究が進められている「iPS細胞」。
理科の教科書やニュースでもおなじみの言葉ですよね。
でも、この名前をよーく見てみてください。
「i」の文字だけ、なぜか「小文字」になっています。
「ただのデザインかな?」
「何か難しい医学的な理由があるの?」
いえいえ、実はそこには、開発者である山中伸弥教授の、お茶目で熱いこだわりが隠されていました。
チコちゃんの答えは、ズバリ「あの大ヒット商品みたいに世界に広まって欲しかったから」!
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授の解説をもとに、この名前が生まれたドラマチックな舞台裏に迫ります。
そもそもiPS細胞ってどんなもの?
iPS細胞とは、2006年に山中教授が発表した、体のあらゆるパーツになれる魔法のような細胞のことです。
私たちの体は、もともとは何にでもなれる「受精卵」から始まります。
そこから成長するにつれて、心臓、皮膚、脳など、それぞれの役割を持つ細胞へと分かれていきます。
通常、一度役割が決まった細胞は、もう他の細胞に変身することはできません。
ところが、山中教授は驚きの発見をしました。
皮膚の細胞に「山中因子」と呼ばれる4つの特別な遺伝子を入れ込むと、なんと生まれたばかりのような、何にでもなれる状態に細胞を「初期化」できるのです。
こうして戻された細胞が、iPS細胞です。
もともと皮膚だった細胞を、心臓の筋肉や、神経の細胞など、まったく別の細胞へ生まれ変わらせることができるようになりました。
「本当にこんなことをしていいのか…?」山中教授の葛藤
研究の初期段階、山中教授のチームはマウスを使った実験を行っていました。
大人のマウスの肝臓からiPS細胞を作り、なんとその細胞から、新しいマウスを作り出すことに成功したのです。
目の前で元気に走り回るマウスを見た山中教授は、ものすごい衝撃を受けました。
「こんなことを、本当に人間がしていいのだろうか……?」
命の根源に触れるような技術に対し、強い葛藤に襲われたそうです。
山中教授は「今もその気持ちは忘れていない」と語ります。
「何かの間違いではないか」と、何度も何度も実験を繰り返しました。
しかし、何度やっても同じようにマウスが誕生します。
そこで山中教授は決意を固め、この大発見を世界に発表するためのネーミングを考え始めました。
2文字のこだわりが生んだ「2.5文字」のひらめき
山中教授には、名前をつける際にある思惑がありました。
それは、iPS細胞の親分のような存在である「ES細胞」と、似た響きの名前にすることです。
ES細胞とは、受精卵を利用して作られる、何にでもなれる細胞のことです。
しかし、命の始まりである受精卵を使うため、倫理的にもデリケートな扱いが必要でした。
一方、皮膚などから作れるiPS細胞は、より使いやすいというメリットがあります。
「ES細胞と同じくらい素晴らしい細胞だ」という意味を込めて、山中教授は「●S」という2文字の言葉を探しました。
しかし、「BS」「CS」「DS」「OS」「PS」など、すべてのアルファベットはすでに他の電子機器やサービスに使われていました。
2文字にするのはあえなく断念せざるを得ません。
そこで、正式名称である「induced pluripotent stem cell」の頭文字をとることにしました。
induced(人工の)
pluripotent(多能性の)
stem cell(幹細胞)
これをそのまま並べると、大文字の「IPS細胞」になります。
しかし、どうしても2文字のスマートさにこだわりたかった山中教授は、当時世間で大流行していたアップル社の携帯型音楽プレイヤー「iPod(アイポッド)」の表記を見てひらめきます。
「そうだ!『I』を小文字にして『iPS』にすれば、文字の並びが可愛くなるし、実質2.5文字に見えるじゃないか!」
世界中に爆発的に普及したiPodのように、「この細胞も世界中に羽ばたいてほしい」という願いを込めて、頭文字の「i」を小文字にしたのです。
呼び名が忘れ去られた、過去の苦い経験
実は、山中教授が名前にここまでこだわったのには、もうひとつ理由がありました。
iPS細胞を発見する前、山中教授のチームはとても重要な遺伝子を発見し、「ECAT4(イーキャットフォー)」と名付けていました。
しかし、ほぼ同じ時期に海外のチームも同じ遺伝子を発見していました。
彼らはその遺伝子を「Nanog(ナノグ)」と名付けたのです。
すると、いつの間にか世界では「Nanog」という呼び名がスタンダードになってしまい、「ECAT4」は忘れ去られてしまいました。
山中教授自身も「僕も忘れかけてますから(笑)」と自虐するほどの苦い経験です。
だからこそ、「今度こそ自分が名付けた名前を世界標準にするぞ!」という強い思いが、あの「i」の小文字に込められていたのです。
その願いは見事に叶い、今では世界中で「iPS」という言葉が定着しています。
二十歳を迎えたiPS細胞のいま
2006年の発表から約20年が経ち、iPS細胞はいわば「二十歳(はたち)」を迎えました。
山中教授は「人間の二十歳と同じで、一人前に見えてまだまだ青い状態」と表現します。
しかし、研究室を飛び出したiPS細胞は、いよいよ実際の医療現場で使われる時代に入っています。
特に心臓の分野では、iPS細胞から作った「心筋細胞シート」を使い、弱ってしまった心臓の動きを取り戻そうとする最先端の研究が進んでいます。
実用化まで、あと本当に少しのところまで来ているのです。
まさに、世界中の患者さんの未来を照らす、希望の光になっています。
まとめ
理科の難しい最先端技術の言葉だと思っていた「iPS細胞」。
その「i」の小文字には、親しみやすさと、世界へ広めたいという熱い願いが込められていました。
「i」が小文字なのは、当時世界中で大流行していた「iPod」が由来。
ES細胞のようにシンプルな2文字にこだわった結果、「2.5文字」のアイデアが生まれた。
過去に海外チームに名前を負けた苦い経験から、世界標準を目指して名付けられた。
誕生から20年が経ち、医療現場での実用化がいよいよ目の前まで迫っている。
ちなみに、番組スタッフから「iPS細胞があれば、弱った肝臓も蘇るから、お酒をどんどん飲んでも大丈夫ですか?」と聞かれた山中教授。
「まずは飲み過ぎに注意してください」と、お医者様として至極もっともなアドバイスを笑顔で送っていました
お酒の飲みすぎには気をつけましょうね!
今度「iPS細胞」の文字を見かけたときは、世界に羽ばたいた小さな「i」に込められた、山中教授の熱い想いを感じてみてくださいね!
結論
というわけで、
「なんでiPS細胞の「i」は小文字なの?」は、
「あの大ヒット商品みたいに世界に広まって欲しかったから」
でした。
解説してくれたのは
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授。
今回も最後まで読んでくれてありがとう。
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